受診をお考えの方へ
これまでのタイミング指導・人工授精に加え、2022年4月より保険診療となりました体外受精・顕微授精も当院でお受けいただけます。施設には最新の機器・設備を導入し、経験豊富な生殖医療専門医と胚培養士とともにスタッフ一同で、皆さまを全力サポートいたします。
当院では、女性の年齢とカップルのご希望に応じて個別化した不妊治療を提供します。まずはタイミング指導や人工授精といった一般不妊治療を行いますが、それで妊娠に至らない場合は年齢に応じて手術療法や体外受精など高度な不妊治療をご提案します。また、流産を繰り返す不育症に対する検査・治療も行っております。
診療受付時間
月曜日 | 15:00~19:00 (初診の方は16:00まで) |
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火曜日 | 休診 |
水曜日 | 15:00~19:00 (初診の方は16:00まで) |
木曜日 | 14:00~16:00 (初診の方は15:00まで) |
金曜日 | 15:00~19:00 (初診の方は16:00まで) |
土曜日 | 14:00~16:00 (初診の方は15:00まで) |
日/祝 | 休診 |
不妊症について
▶ 不妊症とは?
「1年以上妊娠活動をしても妊娠が成立しないカップル」のことをいいます。
▶ 不妊症の原因は?
女性側の原因
排卵障害、卵管閉塞、子宮筋腫や子宮内膜症、加齢による卵子の老化などが主な原因ですが、明らかな原因がみつからないことも多いです。
男性側の原因
精子の数や運動率の低下が主な原因です。精子をつくる機能が障害されている場合と通り道がつまっていて出てくることができない場合があります。
▶ 不妊症の治療の流れは?
<34歳以下の女性>
できるだけ自然に近い形での妊娠成立をめざしたい方については子宮・卵管・卵巣といった生殖臓器の位置関係を妊娠に適した状態に整えるための手術療法もご提案します。手術療法を希望される場合は近隣の総合病院をご紹介いたします。
<35歳以上の女性>
卵子の老化が急速に進むことが予想されるため、手術療法ではなく、できるだけ早期に体外受精までステップアップすることをお勧めしています。
卵子の老化について
卵子のもととなる卵祖細胞は胎児期に減数分裂に入り、出生時までにそのすべてが卵母細胞となっていったん休止します。
卵母細胞は自己複製する能力をもたず、出生後に新しい細胞が供給されることはありません。思春期をすぎると、月経周期ごとに卵母細胞が休止期を脱して減数分裂を再開し、卵子となって排卵されます。つまり、20歳の女性から排卵される卵子は20年の休止期を経て減数分裂を再開したものであり、40歳の女性では40年もの長い休止期を経て減数分裂を再開したものなのです。
卵母細胞は休止期の間に徐々に劣化しますので、その後に再開される減数分裂において染色体不分離(染色体が均等に分離されない異常)を起こす頻度は加齢とともに高まります。このため、高齢女性から排卵される卵子はの多くが染色体の数的異常をもっており、正常妊娠にはつながらないのです。これが「卵子の老化」とよばれる現象です。
グラフに示す2020年の本邦の体外受精データでは、妊娠率は女性の加齢とともに低下し、たとえ妊娠できても流産してしまう率が上昇します。この傾向は、とくに37歳以降に顕著であり、37歳をさかいにして卵子の老化が急速に進むことを反映していると考えられます。
(出典:2020年 日本産科婦人科学会報告)
不妊治療について
▶ 一般不妊治療とは?
- 排卵誘発
服薬や注射で卵巣を刺激して排卵をおこし、また体内のホルモン環境を整えます。
- タイミング指導
排卵日のタイミングに合わせて夫婦生活を持っていただく方法です。通院によりエコーや採血でホルモンの測定をして、排卵日を推測します。
- 人工授精(AIH)
排卵日に合わせて外来で行います。自宅で採取した精液を持参いただき、洗浄濃縮したのちにカテーテルを用いて子宮の中に直接注入します。
▶ 生殖補助医療とは?
- 体外受精(IVF)
排卵誘発剤を連日注射し複数の卵子を育て、日帰り手術で採取(採卵)します。採卵当日に自宅で精液を採取して持参していただき、精液から精子を調整して採取した卵子と体外で受精させます。受精の方法には以下の2つがあります。
【通常体外受精 conventional IVF】
良好な精子を卵子にふりかけて受精を待つ方法です。
【顕微授精 ICSI】
顕微鏡で見ながら細い針を用いて一つの精子を一つの卵子の中に直接注入する方法です。精子の数や運動率が極端に低く通常体外受精では受精しないと判断される場合や通常体外受精を試みたが受精しなかった場合に実施します。
- 胚移植(ET)
受精した卵子は受精卵あるいは胚と呼ばれます。胚は細胞分裂(卵割)をくりかえし、発生が進んでいきます。どの発生段階の胚でも子宮に戻すことができ、また余った胚は凍結保存することができます。胚移植の方法は以下のように分類されます。
■ 移植する胚の発生段階による分類
初期(分割)胚移植 | 細胞分裂して4~8細胞になった胚を子宮に戻す方法です。 |
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胚盤胞移植 | 初期胚からさらに培養を続け胚盤胞とよばれる段階まで育ててから子宮に戻す方法です。 |
■ 胚移植を行う時期による分類
新鮮胚移植 | 卵子を採取した周期に、受精卵を子宮内に戻す方法です。 |
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凍結融解胚移植 | 体外受精により得られた受精卵の一部あるいは全部を凍結保存し、その後の自然に近い周期に融解して子宮内に戻す方法です。 |
近年、凍結融解胚盤胞移植が最も妊娠率が高いことが明らかとなり、1回の採卵で多くの卵子が得られる女性に対する治療法の主流となっています。
体外受精説明会について
当院にて体外受精を行うことを希望される方は、ご本人さまとパートナーさま、必ずお二人で体外受精説明会に出席いただく必要がありあます。診察にて医師と治療方針を相談の上、予約をお取りいたします。予約をお取りいただいた方には体外受精に関する動画をご覧いただきます。ご本人さまとパートナーの方お二人ともご視聴ください。
説明会当日は医師が治療内容についてご質問にお答えいたします。また、担当スタッフより詳しい通院スケジュールについてもご説明させていただきます。
不育症について
▶ 不育症とは?
「流死産もしくは生後1週間以内の早期新生児死亡を2回以上繰り返して生児を得られないもの」と定義されます。死産や早期新生児死亡を経験する女性は少数ですので、不育症のほとんどは反復流産(2回連続する自然流産)と考えていいでしょう。
▶ 不育症の原因は?
不育症の原因の半数以上を占めるのが、胎児の染色体異常です。これには、カップルのいずれも染色体は正常だが胎児に染色体の数的異常(染色体数の不足あるいは過剰)が反復するもの、カップルのいずれかに染色体の構造異常(染色体の部分的な異常)があるため胎児にも染色体の構造異常が反復するものの2種類があります。
抗リン脂質抗体症候群をはじめとする血栓性素因(血管の中に血の塊が生じやすい体質)、甲状腺機能低下症や糖尿病などの代謝・内分泌異常、子宮奇形を有する女性に流産がおこりやすいことが知られています。これらの中には不育症の直接原因となっているかどうか分からないものも多く、「これらの因子があると流産しやすい」という意味で「リスク因子」ともいわれます。
▶ 不育症の診療の流れは?
胎児染色体異常が原因でおこる不育症に対する有効な治療法はありません。ただ、何度か流産を繰り返したのち最終的には80%以上のカップルが生児を得ることができるとされています。生児を得るまでの流産回数を減らす試みとして着床前検査(体外受精の過程で、受精卵から一つの細胞を取り出して染色体を調べる方法)がありますが、自費診療での体外受精を必要とするため現時点では行っておりません。
抗リン脂質抗体症候群が原因でおこる不育症に対してはペパリンの在宅自己注射が有効なことが分かっており、当院でも実施しております。
検査・治療費用について
検査・治療項目 | 保険適用 | 自費 |
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抗ミュラー管ホルモン(AMH) | 2230円 | 7440円 |
不妊ホルモンスクリーニング検査 | 4040円 | 1万3470円 |
子宮頚がん検査 | 1070円 | 3560円 |
感染症検査 | 1600円 | 5330円 |
精液検査 | 310円 | 1040円 |
反復着床不全検査 | 7410円 | 2万4700円 |
不育症検査 | 4000円 | 1万3320円 |
超音波子宮卵管造影検査 | ー | 2万5000円 |
人工授精(AIH) | 6500円 | 2万1680円 |
採卵~胚移植まで(体外受精の場合) <内訳>採卵術、体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、タイムラプス(先進医療)、胚凍結保存管理料、胚移植術 | 約20万円 | 約58万円 |
採卵~胚移植まで(顕微授精の場合) <内訳>採卵術、体外受精・顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、タイムラプス(先進医療)、胚凍結保存管理料、胚移植術 | 約22万円 | 約66万円 |
【オプション】 | ||
高濃度ヒアルロン酸含有培養液 | 3000円 | 1万円 |
アシステッドハッチング | 3000円 | 1万円 |
タイムラプス(先進医療) | ー | 3万円 |
PICSI(先進医療) | ー | 3万円 |
ZyMotスパームセパレーター | ー | 3万円 |
※別途、診察料・薬剤料・注射料・検査料等がかかります。
※保険適用にて治療を受けるためには治療計画書を作成し、ご本人さまとパートナーの方の署名が必要です。
※保険適用の場合には高額療養費制度がご利用になれます。ご自身で確認の上、申請してください。
※地方自治体の助成金制度が利用できる場合があります。ご自身で確認の上、申請される方は必要書類を受付までご提出ください。
保険適用の不妊治療等への助成(不妊治療等給付事業助成制度)
【助成対象となる治療】
・医療保険の適用がある不妊治療(男性不妊治療を含む)
・保険適用の治療に加えて実施される先進医療
・不育症治療
【担当窓口】
京都府(向日市、長岡京市など京都市以外にお住まいの方)
こども・青少年総合対策室 電話:075-4144727
https://www.pref.kyoto.jp/kosodate/funin28.html
京都市
お住まいの地域の区役所または支所保健福祉センター子どもはぐくみ室
https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000173095.html
スタッフ・設備について
患者さんそれぞれのニーズに応じて、個別化した不妊治療を目指します。不妊治療を成功させるかぎは、「治療を始める年齢」です!
半年以上妊活してもうまくいかなかったら、早めにご相談ください。
人工授精や体外受精で、精子の調整や卵子の受精・培養・凍結を担当しています。胚移植するまでの間、みなさまの受精卵をお預かりし、発育する姿を見守っています。
安心してお任せいただけるよう心を込めて日々業務に携わっています。
培養のことで不安や悩みなどがありましたら、どんなことでもお聞きください。
治療を行っていく上で、悩みや不安なことが出てくると思います。
一人で悩まず、小さなことでもご相談ください。スタッフ一同、心を込めて対応させていただきます。
先進医療について
先進医療とは現時点で公的医療保険の適用はないが、将来的に保険の対象にできるかどうかを評価するために保険外(自費診療)で実施することが認められた先進的な医療技術のことです。
日本では保険診療と自由診療(保険適用外の診療)を併用して実施することは「混合診療」として禁止されています。そのため、自由診療を行う場合には保険診療分を含めたすべての費用が自己負担(10割負担)となってしまいます。しかし、先進医療として認められている診療に限り、保険診療と組み合わせて使うことが許されています。
2023年4月現在、認定されている先進医療は8項目ありますが、随時追加されることもあります。また、医療機関によって実施できる先進医療は異なります。
当院では次の3つの先進医療を実施しており、技術ごとに費用は3万円です。適応については医師とご相談ください。
タイムラプスシステム
一定の位置、一定の時間間隔でインキュベーター内にある受精卵の複数断面を撮影し、その写真を連続して映し出すことで受精卵の動態を動画としてとらえることができるシステムです。
受精卵を培養器に入れたまま外に出すことなく継続して培養できるため、胚へのストレスを最小限におさえられます。また、インキュベーターから取り出す操作を繰り返すことで起こりうる胚の紛失や取り違えといったアクシデントも回避できます。
当院ではタイムラプス・インキュベーター(『Embryo Scope+』 Vitrolife社)を導入し、全症例にて使用しています。
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)
顕微授精に用いる成熟精子の選別に、ヒアルロン酸を利用する方法です。
DNA損傷の少ない成熟精子はヒアルロン酸に結合できるという性質を利用しています。異数性胚が発生する割合を下げ、流産率を低下させることが報告されています。
通常体外受精を試みても受精しなかった場合や精子の数や運動率が極端に低く通常の顕微授精では受精が困難であると判断される場合に実施します。
生理学的精子選択術(ZyMotスパームセパレーター)
精子に損傷を与えるとされる化学物質や遠心分離を使用せず、特殊なフィルターを用いて良好な運動精子を回収する方法です。
通常体外受精を試みたが受精・発育が不良であった場合や逆行性射精など精子の状態がかなり不良であることが予想される場合に実施します。